ファクトフルネス (1/200) @ 2019
2019年は生きるため呼吸をするように何かを書き残していく年間にしたいので、ブログを再開することにする。 日本語訳が出る前に英語で読もうと思い意気込んでいたが、結局日本語で読んでしまった本書
本の概容
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ファクトフルネスとは――データや事実にもとづき、世界を読み解く習慣。賢い人ほどとらわれる10の思い込みから解放されれば、癒され、世界を正しく見るスキルが身につく。 世界を正しく見る、誰もが身につけておくべき習慣でありスキル、「ファクトフルネス」を解説しよう。
世界で100万部の大ベストセラー! 40カ国で発行予定の話題作、待望の日本上陸
ビル・ゲイツ、バラク・オバマ元アメリカ大統領も大絶賛! 「名作中の名作。世界を正しく見るために欠かせない一冊だ」―ビル・ゲイツ 「思い込みではなく、事実をもとに行動すれば、人類はもっと前に進める。そんな希望を抱かせてくれる本」―バラク・オバマ元アメリカ大統領
3行で書くと
- よくある思い込みの類型を実例と共に紹介し、数字を元に正しく世界を捉えることの需要さを説く
- 世界が確実に前進し良くなっていること、根拠のない恐怖は退治するべきであることを説く
- 「ファクトフルネス」を習慣化するためにどうすればいいかの方法論を紹介する
各章概容
1章:分断本能
- 「先進国」「途上国」の間に大きな断絶が存在すると勘違いしがち(一方では幸せな暮らし、もう一方では圧倒的に生活が貧しいなど)
- 大体の人々は中間的な生活をしている(4段階に所得レベルを分類すると、最低レベルの人口は全体の1/7、200年前は全体の85%だった)
- ドラマチックな本能(分断されたセグメント同士が対立していたりするとより認識が歪む)
- 本能を刺激する話は、わかりやすく伝わりやすい
- (個人的な感想)サービス開発において、ヘビーユーザと超ライトユーザの二項対立ばかりを念頭に置いてしまったりすると危険な気がする
- 「平均の比較への注意」・「極端な数字の比較に注意」・「上からの景色による抽象化に注意」
2章:ネガティブ本能
- 「世界はどんどん悪くなっている」と思い込みがち
- 減り続けている16の悪いこと(with 件数の年次変化のグラフ)
* 合法的な奴隷制度 / 石油流出事故 / HIV感染 / 高価なソーラーパネル / 乳幼児の死亡率 / 戦死者数 / 有鉛ガソリン / 死刑制度がある国の数(これは悪いことなのか) * 飛行機事故の死者数 / 大気汚染 / 天然痘 / オゾン層の破壊 / 飢餓 / 核兵器 / 大気汚染
- 増え続けている16の良いこと
- 考えずに感じているだけだと、ネガティブな報道とかによって「課題が山ほどある」と認識してしまう。
- 「悪い」と「良くなっている」が両立しないと勘違いしやすい
- 良い出来事のほうがニュースになりずらい
- ゆっくりとした進歩はニュースになりづらい
- 悪いニュースが増える != 悪い出来事が増える
- 過去は美化されやすい
3章: 直線本能
- 予測を直線的にしてしまいがち
- 増加も減少もいつかはサチる(平衡状態に達する)
- 見えているのがグラフの土の部分なのか、横軸の変化とともに縦軸がどうなるかを冷静に判断する
4章: 恐怖本能
- 生活水準がレベル4の国では、テロによる者数は減っている
- (個人メモ)水準が低い国ほどテロにさらされているとしたら、「虐殺器官」的な分断感がある
- 恐怖 != 危険
- リスクも質と量の掛け算で決まる
5章: 過大視本能
- 比較と比率計算(割合で考える)で過大視を防ぐ
- 方法論としての80:20ルール
- 全体の8割を占めるものは何か
- ひとりあたり○○で考える
- (個人メモ)一人あたりGDPで見ると日本が貧しいという話を思い出した。
- 比較の軸
- 比べるべき数字はなにか
- 経年変化
- 割り算の基準(ひとりあたり)
- 地域性があるのかどうか?
6章: パターン化本能
- 1つの例が全てに当てはまるという思い込み
- ステレオタイプ的なやつ
- 分断本能 -> 「私達」vs「あの人達」 => 「あの人達はこう」というステレオタイプ(認識違いのコンボ)
- 自分の中にある分類に注意する
- 同じ集団の中の違い / 過半数への注意 / 自分が「普通」だと決めつけないこと / 一つのグループを他のグループに当てはめていないか気をつける / 同じ集団の中の違い vs 違う集団の中の共通点
- 理由を見出す
- なぜ家が立てかけのほうが合理的なのか
7章 :宿命本能
- 「変わらない」という思い込み
- ゆっくりした変化(見えづらい)でも少しずつ変わっているということを意識する
- 小さな進歩を追いかける
- 文化が変わった例を集める(昔から変わらないといわれたら、反例をあげてみる)
8章: 単純化本能
- 子供にトンカチをもたせると、なんでも釘に見える
- 専門知識が邪魔をして、実際に効果のある解決策が見えなくなる
- 一つの視点だけでは世界を理解できない
- 何でもかんでもトンカチで叩くのをやめる
- ✗知ったかぶり
- 単純なものの見方を警戒する
- 自分の考え方を検証する
9章: 犯人探し本能
- 誰かが見せしめとばかりに責められていたら、それに気づくほうが良い
- 犯人でなく、原因を探す
- ヒーローでなく、システム(社会を機能させている仕組み)にめを向ける
10章: 焦り本能
- ほうっておくと大変なことになる、と過剰に反応しない
感想
プロダクトマネージャー的に自分が働いていたときのことを思い出しながら読むことで、正直かなり耳が痛い部分が多かった。宿命本能、分断本能、焦り本能とかはサービス運営をしていると陥りがちじゃないかな。 本書をプロダクト開発版にするだけで相当面白い書籍が書ける気がしている。もちろん、経営であるとかチーム運営上は「焦ること」であるとか「類型化して考えること」は非常に大切なことなのだが、行き過ぎると現実が見えなくなる。何かを捉える上で難しいのは、時間軸を事実に基づいて捉えることだと感じた。2,3,10年スケールのことを自分のこととして捉えること、小さな変化が物事の改善を進めていくが、それがいつサチるのか、一年続くとどう世界が改善するのか、時間の軸が自分が想像できる範囲からずれると一気に思考が固まってしまいがちだし、ドラマチックな分断本能に身を任せてしまいがちである。 (自分の小ささを自覚する瞬間でもある)