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MasashiSalvador(在日東京人) / 茶道 / 音楽/ 映画/ 雑記

糞映画を見てしまったので感想を書いておく 「ぼくらの亡命」

★1つを迷わずにつけたくなるような糞映画を見たのは久しぶりだ。ただでさえ少ない観客の1人が途中で帰っていったのも含めてエンターテイメントだった。 平たく言って、控えめに言ってカネを払う価値はない。 見始めた映画のサンクコストという同しようもない概念が浮上するレベルの映画だった。

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何故そんな糞映画を率先して(公開日に)見に行ったのか?と問われると答えにつまる。たまたまtwitterで見かけて見にいきたくなったから。としか答えられない。

作中のホームレスが(何らかの理由で社会から疎外され)変な(自分を利用した男を刺してしまう)女と北海道だか何処かに逃げ、何故か(女の祖父の出身だかなんだかである)国後島 を目指す、という話だが、終始テーマがハッキリしない。 国後島や何らかのデモ@新宿の映像を持ち出して国家というものを意識させつつも、男女が逃げることになった理由とは全く関係しない。 登場人物たちが国家に依って不条理に疎外されているのであれば持ち出す意味のもあるし、表現としては理解できなくもないが。謎である。意図が見えない。

そもそも、ホームレスだの引きこもりだのというのはそういう状況に至っている個々人に個々人特有のそれなりの重さのストーリーが存在しているはずであり。 悪い状況に置かれている=可哀想=その人の外部にある何者かが端的に悪いという枠組みでは描けないはずである。 小学生の作文とか、悪い状況に置かれている個々人の思いの表出としてだけそういう枠組みは許される。 映画を描く人間、演じる役者、それを見る観客が単純な枠組みに乗っかるとすれば、端的に言って「幼稚」である。 僕がそういう捉え方をしている前提で話をすすめると、この映画の登場人物たちの背景については非常に断片的にしか描かれない。 (何らかの理由で父をなくしてホームレスになっている、程度のことしかわからない) 断片的にしか描かれない故に、男が女に行為を持つ理由も全くわからない。必然性がない。なぜその人なのか?という点で、理解ができない。 「女性と関係を持ったことがないから、たまたま出会ったある人に自分でもわからないくらいの好意を抱いてしまう」 位の背景で男の女に対する愛が描かれる。その描き方は苦痛以外の何物でもない。なぜなら登場人物の背景にねざさない。監督だか脚本だかの一方的な価値観の押し付けだからだ。 弱者を描くくせに物語を描かず、一方的な価値観の押し付けに終止する。 それは弱者をある意味食い物にして、自分の表現を行っているということになり、最低だ。吐き気がする。 演じている役者も含め、こんな表現に関係した全ての人間の神経を疑う。 こういう表現もある。とかそういうレベルではない。

表層上の同一性が担保されているせいで明示的な「疎外」の表現が弱い日本だからこそこういう「創造力の欠如」がまかり通るのかもしれない。 この作品が公開された事自体が一種の問題提起である。

そしてそれ以外の価値はまったくない。 クソ。

クソであることを書かないと溜飲を下げることができないぐらいひどかった。